第九十三号 人は変えられない
オリンピックを夜遅くまで見ているために、寝不足になっている方もいらっしゃることでしょう。
早速本題に入りますが、自分が変われば世界は変わる…という言葉を、身を持って体験された方も多くいらっしるのではありませんか。この言葉を踏まえて、次のことをお聞きします。
『自分の嫌なところが見えて、自分自身に嫌悪を感じた』ことや『とっても穏やかで、教養あふれる人と出会い、自分もこうなりたい』と思ったりしたことはありませんか。
以前読んだ今野敏さんの小説に『人間そう簡単に変われるものじゃない。変わるのではなく、考えを深めるのだよ。』と書いてありました。私はこれを読んだ時、思わず心の中で手を打ちました。
考えを深めることで時間はかかっても、いつかは、意志の弱い私でも、変わることができるかもしれないと思料したからでした。
初めの詩は、自分自身をほんの少しだけ変えることで、周りの人の私を見る目が変わった経験を詩にしてみました。
では読んでください。

〈自分が変われば世界は変わる〉

嫌いな人の
短所を並び立て
それだから俺は
あいつが気に食わないと
声高に喋りまくる
国会議員に
ろくなやつはいないと
己の正義感で
批判する
金科玉条の如く
己の人生観
価値観を
誰彼無しに
安売りをする
お前の大切なものは
そんなに安っぽいのかと
言いたくなるほどに
大安売りをする
人は簡単に変えられない
自分自身を変えるしかない…
自分自身が一歩だけでも
高みに昇れた時に
見えるものすべてが変わる
自分自身を
俯瞰してみろ
自分が見えた時
人を批判することはやめ
自分を磨くことだけに
専念しようと決めた

※ 金科玉条(きんかぎょくじょう):非常に重要な法律や規則のこと。転じて、自分の主義や主張、立場の絶対的なよりどころになる思想や信条などのこと。
俯瞰(ふかん):高い所から見下ろし眺めること。鳥瞰。広い視野で物事を見たり考えたりすること。また、ある事柄や状況に対して客観視すること。

▽ 長く生きていると、人の好き嫌いも増えてくるような気がして、ある日ある時、それではいけないと思い、自らの悪い習い性を変えようと努力を始めたのでした。
次の詩は、自分が変わりたくてもなかなか変えることは難しく、辛抱が第一だと思い作った詩です。どうぞ読んでください。

〈倦まず撓まず〉

桃も栗も三年
柿は八年
ゆずは十八年
実りの日を待ち続け
根を深く張り
枝を伸ばし
葉を広げ
花を咲かせる
人は十八年かけて
成人の日を迎える
そこには継続して
込められた精誠がある
釈尊は六年間も
難行苦行を続け
悟りの境地に達したが
普く教えを広げるまでには
いまだに至ってはいない
日本国は
数千年かけて
今日を迎えた
宇宙は
数億年
数十億年かけて
宇宙の法則にのっとり
連綿と営みを続けている
人は八十年かけても
九十年かかっても
完成の日を迎えることはない
そこに込められた心
そこに掛けられた時間
想像することすら烏滸がましい
そんなことから今更
遅れ馳せながら
確かに継続は
力であることを知った

※烏滸がましい(おこがましい):身の程をわきまえない。差し出がましい。なまいきだ。いかにもばかばかしい。ばかげている。

▽ 昔の人が言った言葉で「桃栗三年柿八年、柚子のばかめは十八年」と言う言葉をご存じでしょうか。木の実はそのくらい手をかけなければ実らないと言いたいのだと思いますが、人も、長い年月を精いっぱい生きて夢を実らせることができるのでしょうね。
人生経験が増えれば増える程、人は多くの実をつけ、神秘的になれるものですね。ただ、その経験を自らの手で掴み取れなければ、人は薄っぺらなままで一生を終えてしまわなければならないとも考えます。こんなことを言っている私は、今まさに孤軍奮闘中です。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした