第九十二号 宇宙の営み

先日、ある推理小説を読んでいたら、主人公の刑事と開業医との会話の中に「人間らしい生活とは何だろう」と書いてありました。私は、その言葉通りに、人間らしい生活とは…人間らしさとは…どんな生活だろうと考えました。しかし、簡単に答えが出そうにないので、すぐに考えることをやめたのでした。
話は変わりますが、夏目漱石の「草枕」の冒頭に『山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。智(ち)に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。』と書いてあります。
文豪夏目漱石でも、世の中の住みにくさを感じていたのですから(漱石だからこそかもしれませんが…)、私如きは、時折住みにくさを感じても当然かもしれません。
ただ、『草枕』の冒頭を、改めて読んでみると、人間らしさが見えてくるような気がしました。あくまで気がしただけですが…
始めの詩は「布団の中で耳を澄ますと、雨音が聞こえてきました。その時に妄想を膨らませて、晴れた爽やかな夏の朝を思い浮かべてみました」。そんな詩です。
では読んでください。

〈蒼穹〉

今日は雨
梅雨まっただ中の朝
水無月は過ぎ去ったのに
冷たい雨は降り続く
・・・・
始めは静々と
次には明け透けに
己の心を覗いてみると
そこには初夏の蒼穹
雲ひとつない
ブルースカイが広がり
その透き通った
青さに魅せられて
モーツアルトにも勝る
森の囁き
小川のせせらぎ
大自然が奏でる
演奏に合わせて
清花に歌う
花々のハーモニー
鳥たちの歌声は
堂々として
愛を奏で
浩々と響く
懐かしのメロディ
踊りだしてしまいそうなリズム
昂然として
また当然のように
流れる薫風は
自然の営みを
最高潮に活かしている
それはまるで
燦燦として
光の降り注ぐ
天国のように

※ 水無月(みなづき・みなつき):六月、水無月の「無」は「の」と言う意味のようです。つまり「水無月」は「水の月」ということのようです。
「水の月」とは、田んぼに水を引く月と言う意味だと本に書いてありました。

▽ ところで、あなたの考える人間らしさ、または人間らしい生活とはなんですか?
人は、考えることも大切のように思うので、私も引き続き考えたいと思っています。
次の詩は、意味も無く宇宙に心を向けて考えた詩です。「宇宙の中の私」「私の中の宇宙」を想うと、なぜか自分の存在が見えてくるような気がしました。
では、読んでください。

〈宇宙〉

連綿と続く
宇宙の営み
これから未来(さき)も
地球は同じペースで
次点と好転を続け
数千年数万年と
歴史を重ね
そこに住んでいるであろう
僕たち人間は
相も変わらず
いがみ合い
争うことを
続けているのだろうか
それとも
手と手を繋ぎ
助け合っているのだろうか
僕らは地球で生まれ
宇宙の今を生き
宇宙の未来を創る
宇宙人

▽ 皆さんは、宇宙人はいると思いますか。
ある友人に「俺たちだって、地球に住む宇宙人だろ」と言われたことがありました。その通りですよね。
ちょっとだけ見る観点を変えると、違う景色が見えるのですね。
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした