第九十号 面目とは?
今年一月二十九日のパソコンニュースに、『環境活動家が、モナリザの絵画にスープをかけた』と言う記事が載っていました。その環境活動家の女性は「食糧問題とモナリザの絵画では、どちらが大切なのか」と、声高に訴えていたようです。
ここ数年間、環境活動家と名乗る人達の暴力行為は目に余りますが、本人たちは良いことをしていると考える確信犯なので、手のつけようがありませんね。皆さんは、この記事をどう読み解きますか。
私は、環境活動家を名乗るこの人たちの、極端な視野の狭さが気になります。
話は変わりますが、気になった小説の一文を紹介します。
「武士や面目は、他聞他目にあらず、常に、自聞自目に恥ずることなきよう生きよと父は申していました」。
この一文は、確か、浅田次郎の時代小説『一路』の中にあったものだと記憶しています。皆さんもお分かりのように、この中で言うところの「他聞他目」とは人の目や風聞のことで、「自聞自目」とはまさに私が私をどう見るかということだと思慮します。
始めの詩は、私自身のことを書いたものです。私は、とても臆病で、気の小さな子供でした。ところが、小学校低学年の頃、勇気を振り絞り、思い切って大人の人に挨拶をしてみました。それからは、ぎこちないもののきちんと挨拶をできるようになったのでした。
どうぞ読んでください。

〈僕はなんにもできない〉

僕はなんにもできない
母ちゃんが大好きなのに
「ありがとう」が言えない
僕はなんにもできない
父ちゃんが汗を流して仕事していても
「手伝おうか」の一言が言えない
僕はなんにもできない
おばあちゃんが団子を買ってくれても
「いただきます」が言えない
僕はなんにもできない
おじいちゃんが疲れたと言っても
「肩たたこうか」と声をかけられない
僕はなんでもできる
勇気を持ってからなんでもできる
隣のおばさんと道端で出会ったら
「こんにちは」と挨拶できる
僕はなんでもできる
女の子が犬に吠えられていたら
両手を広げ守ってあげられる
僕はなんでもできる
おばあちゃんが横断歩道で立ち往生していたら
手をとって引いてあげられる
昨日までなんにもできなかったのに
今日はなんでもできる
僕はなんでもできる
一人じゃないんだと気付いてから何でもできる
僕はなんでもできる
たったひとりの友がいるだけで何でもできる

▽ 少しだけ、脚色を加えて作ってみました。皆さんはどんな子供でしたか。
次の詩は、生活習慣…特に悪い習慣を念頭に置いて作った詩です。
なくて七癖と言いますが、誰でもが、悪い癖をお持ちのことと思います。
どうぞ読んでください。

〈習い性〉

生活習慣は大地
言葉は力
力とは
色とりどりに
咲き誇る花
花には香りも在れば
個性的な色もある
大地から力をもらった
花々は
人を生かすも
人を殺すも
思いのままに
心に深く広く
根を張る

▽ 悪い習慣を、改めることは難しいですよね。
マッサージの仕事をしていると、腰椎や胸椎がゆがんだり、左右の足の長さが違ったりした人とよく出会います。これは正に、悪い習慣を長年つづけた結果です。
そのことだけでも、悪い生活習慣は、早く治したいものです。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした