第八十八号 生まれたからには
ようやく季節は移ろいました。時間は刻刻と過ぎて行くものだと感じます。
ところで、中島みゆきの♪命の別名♪という歌をご存じでしょうか？！知的障害者をテーマに作った曲のようです。
私は、この歌を聞いた時に、なぜか涙が溢れ出しました。
自分が障害者だからなのか、歌に感動したからなのか、わからないまま涙にぬれました。機会がありましたら、皆さんもぜひ聞いてみてください。
始めの詩は、まさに中島みゆきの♪命の別名♪を聞いて書いた詩です。少しでも、障害について考えていただけたなら幸いです。
どうぞ読んでください。
〈生まれたからには〉
俺は
なぜ生まれてきたのか
これからも
生きていていいのか
何を目標に
生きて行けばいいのか
俺が生まれたことを
喜ぶ人はいるのか
俺の存在に
価値はあるのか
障害のある
俺の生きざまは
俺にしかわからない
それでも
生まれたからには
もう少しだけ
あと少しだけ
生きて見よう
▽ この詩は、中島みゆきの曲の、後追いそのものですが、お許しください。
私は、地元行田の視覚障害者の団体に加盟しています。障害を持っていても、胸を張って、自分に与えられた道を歩いている人たちが大勢います。そんな姿に、私は励まされているのです。
次の詩も、障害をテーマにして作った詩です。
私の妻は、知的障害者の作業所で働いているのですが、その妻の経験を詩にしてみました。
この詩を読んで、皆さんは何を感じるでしょう？それぞれ感じるところは違っても、この世の中には、障害を持った人が沢山生活していること、そしてあなた自身も、障害を持ってしまうことがないとは言いきれないことを、頭の片隅に留め置いて、読んでください。
〈つぶやき〉
「私はお飾りのようなものです」と
知的な障害を持った女の子は
整然として
唇を動かした
そのつぶやきは
まるで湧き水のようぬ煌めいて
それでいて誰にもきずかれずに
粛然として輝いている
「私はお飾りのようなものです」
この吐息のようなつぶやきは
ある人には
唯々
空気に溶けて行き
ある人には
重く心にのしかかり
またある人には
乾ききった心に
清水がしみいるように
燦然とした希望を生みだし
やがては
ひとつまた一つと
真珠のような
涙はこぼれ出す
▽ 知的障害といっても、原因も、症状も様々です。
私たち障害者も、苦しいだけではなく、悲しいだけでもなく、喜びも、楽しみも沢山あります。
しかし、その背後には、皆さんの理解と、ご協力があってこそなのです。
勝手ながらこの場をお借りして、お礼を申し上げます。
今回も、言いたいことを気ままに書いてしまいましたが、広い心でお許しください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした。
