第七十九号 自分は自分…
皆さんは、人の目が気になりますか?それとも、ほとんど気になりませんか?私は、年を重ねるごとに、あまり気にしなくなってきました。気にしなくなったというよりも、気にしない努力を続けています。見えなくなったことも、気にしない努力の一助になっていることは確かです。
以前読んだ、今野敏(こんのびん)さんの推理小説の中に「人がどう想おうが関係ない、自分が自分をどう思うかが大切なんだ」と書いてありました。皆さんは、この言葉を読んで何を感じますか。
私は、心に残った言葉に出会うと、パソコンのファイルの中に保存しています。もうお分かりのように、この言葉も保存しました。皆さんのすきな言葉や座右の銘は何ですか。もしも、特にない方は、何か探してみても楽しいと思います。
始めの詩は、私自身の生き方を回想した時に、生まれた詩です。
まさに、この詩の中の鳶は、私の故郷や岩手時代に見た悠然と蒼穹を舞う鳶を想像して作りました。時折、声高になく鳶の声は、どんな歌よりも心に残りました。
そんな鳶に比べると、私の人生は、それはそれは格好の悪いものでした。
ではどうぞ読んでください。
〈陸(おか)に上がった河童と水を得た魚(うお)〉
それは一幅の絵画のように
雲一つない蒼穹を
悠然と舞う鳶
冬の寒風さえも
手玉に取って
高く高く
何処までも高く舞い上がり
歓喜の叫びを
里山に響かせる
燦然とした青さの中を
寒風を切り裂いて飛ぶ鳶
ふと悪戯な
想像を膨らませて
山を歩き回る鳶を
心に描いた
それはまるで
俺のようだと気付き
冬だというのに
顔を赤らめた
※ 蒼穹(そうきゅう):青空。ここでは、青く澄み渡り、冬の寒風が青さを際立たせている空を想定しています。
▽ 鳶が空を高く飛ぶ姿は、勇壮で格好の良いものですが、山の中の木々の間をよっちらよっちら歩く鳶を想像してみると(そんなことはあり得ませんが…)、間抜けそのものですね。
次の詩は、東京をキーワードに作った詩です。ここでの内容は、私の東京観をそのまま書いたものです。
今思えば、私は人並み以上に、東京に憧れていたと感じます。そんな東京での生活の中にも、沢山の喜怒哀楽がありました。まさに悲喜こもごもな生活でした。いま読み
返してみるととっぷりとホームシックに浸っていたことを感じる詩です。
どうぞ読んでください。
〈TOKYO(東京)〉
TOKYO
それは
高層ビル群の街
ビルの谷間に
飲み込まれて行く夕日は
人々を
哀愁色に染める
胸がつぶれてしまうほど
哀哀として紅く
仕事終わりに見る
夕日の紅(あか)は
ふるさとを想起させ
涙が溢れ出す程に
孤独へ誘う(いざなう)
▽ 遠く故郷を離れ、ホームシックを感じながら、思い出に浸るのも、それはそれでよいものです。
1970年代から80年代のポップスには、東京をテーマにした曲が沢山ありますが、そのほとんどは、大都会東京に憧れる曲でした。長渕剛の♪とんぼ♪もその一つですね。
皆さんは、東京をテーマにした曲の中で、好きな歌はありますか。私は、井上陽水の
♪東京♪と言う歌が好きです。
今回もありがとうございました。
石田眞人でした