第七十六号 風遊森学
要約、朝のウオーキングが心地よい季節になりましたが、まだまだ、季節の移ろいを楽しめるまでには至らない私です。
さて、『大人の発達障害が増えている…』というニュースを、今年になってからヤフーニュースで見ました。皆さんは、発達障害という言葉をご存じでしたでしょうか。
私が国リハで学んでいた時に、確か生理学の先生から聞いた話では「多かれ少なかれ、誰もが発達障害を持っているものです。生活するのに不自由なほどの発達障害を持った人を、障害者と言うだけです。」と、言うことでした。
話は変わりますが、今回の題の『風遊森学(ふうゆうしんがく):風と遊び、森に学ぶ』この四文字熟語は、丸々私の創作ですが、実は私自身も気に入っています。勝手ですが「自然に親しみ、自然から学ぶ」と言う意味で使っています。ひいては、自然を大切にしたい、という想いを込めたりもします。
始めの詩は、当たり前の自然の営みを、私自身の思い入れを込めて書いた詩です。
どうぞ読んでください。
昼と夜
新しい朝は来る
そうして
また陽は沈む
長い夜に
震える日もあり
昼の長さに
うんざりする日もある
春彼岸の頃には
花の香りに
胸ときめかせ
秋彼岸の頃には
虫の音に
心落ち着かせる
正月は来て
やがてまた大晦日が来る
同じ一年のようだが
新たな時間を積み重ねて
歴史は永遠と続いている
漫然と過ごした分だけ
無為な時間は過ぎ去り
ゆったり休みを過ごす時間は
心豊かにし
趣味を楽しむ時間は
充実感を与えてくれ
真剣に時を重ねた
生き方をすると
未来に多くの
恵みをくれる
春夏秋冬
季節の移ろいに
目を向け
耳を澄ますだけでも
多くを感じられる
たとえ
障害を
持ってしまったとしても
▽ 目に障害を持って、今年で15年くらいになります。障害を持って10年が過ぎてから、ようやく見えないのが私だと、割り切れるようになりました。
次の詩は、何歳になっても素敵な、ある方を思い浮かべて書いた詩です。歳を重ねるごとに美しくなれる女性、あるいは男性は、素敵ですよね。
皆さんのお知り合いに、そんな素敵な女性、あるいは男性はいますか。
どうぞ読んでください。
金木犀
じりじりむしむしした夏は
せっかちに訪れ
昨日まで暴れまくっていた
そんな頑固な季節も
爽やかな秋風に
心穏やかにして
ようやく笑顔を見せ始めた
高く青い空に浮かぶ
白雲
短くカットした
少女の黒髪を
ふあっと揺らして走り去る
虹色の風
遠くの森で
愛感たっぷりに
鳴くツクツクボウシ
ある休日の朝
ちょっぴり寝坊した私
清んだ陽光に誘われて
玄関を出ると
思い切り伸びをして
気まぐれな風に
心を任せ
荒川の土手を
ゆっくり歩いてみる
南から聞こえてくる
小さな瀬音
東京湾まであと74kmと
書いた立札を左に見て
涼やかな風に
身を委ね
意味もなく歩き続けた
すると突然風向きが変わり
ふあ~っとした金木犀の香りに
気持ちが揺れて
心はあなたのもとへと
一足飛び
いつの間にか
肩を寄せ合い
ゆっくり歩く
あなたと私
▽ 埼玉に移り住んでから、ツクツクボウシの声を聞かなくなりました。岩手の秋には、森中に響く声で、ツクツクボウシが泣いていました。
話は変わりますが、金木犀の香りで、思いだすことはありますか。また、思いだす人はいますか。
私の若い知り合いに、「金木犀の匂いは、トイレの芳香剤に似ているので嫌いです」という男の子がいました。
私は、そんな言葉に軽いカルチャーショックを感じたことを想いだします。
今回も、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした