第七十一号 備えあれば…
まだ私が、青春真っただ中だったころ、いつも一緒に行動していた親友に「お前は人が好過ぎる」と言われたことがありました。その言葉は、私の欠点を指摘してくれた言葉だと理解しましたが、私自身は、誉め言葉だと感じたことを想いだします。
今思えば、そのこと自体が、お人よしを証明する出来事ですね。ただ思うのは、そんなお人よしも、私の個性の一部だということです。
話は変わりますが、曇りの日や雨の日が続くと憂鬱な気分になりませんか。
今年の夏に限っては、熱さに耐えられず、雨を待ちわびていますが…少し我儘ですね。皆さんはいかがですか。
これはPCのヤフーニュースで見たのですが、「太陽の光を浴びることで、脳内ホルモンであるセロトニンが分泌され、気分が晴れるだけではなく、幸せを感じられる」と書いてあったのでした。やはり、太陽を浴びることは心身ともに良いことなのですね。
始めの詩は、そのいただき物が嬉しくて、遊び心を全開にして作ってみました。
この詩の題材は何か、何を考えてこの詩を作ったのか、皆さんも遊び心を全開にして想像してみてください。

〈魅せられた夜〉

桃色の肌に
僕の欲望は疼きだす
豊富な好奇心を抑えきれずに
遠慮がちに触れてみた
その肌に光るのは
夏という季節の為なのか
興奮したためなのか
一粒の汗が
流れ落ちる
丸みを帯び
モッチリとして
妖艶で
艶やかな肌
その柔らかさには
男の心が
くすぐられる
今宵は
東の森に
朝の光が登るまで
堪能しよう
僕ははやる気持ちを
殊更抑え
優しく言葉をかけながら
熱い吐息を漏らす
すると桃色した肌は
昂然と上気する
しっとりと濡れそぼつ
柔らかな肌に
思わず唇を寄せてみた
その刹那
僕の嗅覚は
誘惑の香りで満ち溢れる
桃色吐息な二人は
心も身体も揺れている
僕は長い舌で
そろりと桃色の肌をなめる
きめ細かな肌から
大きな鼓動が伝わる
もう一度
肌に舌を這わせる
その甘さに
臨界点に達っした僕は
その柔肌を
むんずとつかみ
大きく開けた口に
放り込む
なんと甘いことか
やっぱり
桃は福島産が一番だ
高級な桃は高価で
頂き物しか
口には入れられない
悲しきかな
嬉しきかな
この喜びを
独り占め
うふふふふ
ゆっくりひとりで楽しもう
この甘さを噛みしめて

▽ 桃を擬人化し、想像力を全開に膨らませて作ってみました。
ちょっぴり、いかがわしいことを想像した方もいたことでしょう?また、すぐに桃だとお気づきの方もいたことと思います。
私の、どちらかと言うと、貧しい食生活の中での話ですが、食べ物の中では果物が一番好きです。中でもスイカは大きなものを、一度に丸ごとひとつ食べて仕舞える程好きです。
反対に、好んでほとんど食べない果物は、イチジクと柿とザクロですが、嫌いというわけでもありません。
ここでは桃をテーマにして書いてみましたが、桃もマスクメロンも大好きです。しかし、桃もマスクメロンもお高くて手が出ません。福島の友達から、毎年一回桃が送られてきていましたが、その時にだけ桃は食べられたのでした。
次の詩は、見えなくなってから、好きになった花をテーマにして書いたものです。見えている頃には、花にあまり関心はありませんでしたが、見えなくなってからは、
どんな花でも好きになりました。なぜ見えなくなってから?と思う方もいることでしょう。私自身も、そこのところはよくわかりませんが、事実です。特に花の香りに敏感になりました。
では読んでください。

〈花のひとりごと〉

なぜ
この世に生を受けたのか
何のために
命を繋ぎ続けるのか
私はそんなこと
考えたこともありません
私はみんなから力を借りて
自分の意思と
自身の責任に基づいて
みんなに喜んでもらうことに
生甲斐を感じ
大地に根を張り
風雨に身をさらし
一所懸命に咲いています
あなたの笑顔も
あなたの流す涙も
みんなみんな
大好きなのです
それが私の
最高の喜びなのです
もちろん
苦しいことも
楽しいことも
時に
悲しいこともあります
一番悲しいことは
踏みつけられることよりも
唾を吐きかけられることよりも
無視されることが
無性に悲しいのです
それでも
生きていられることが
嬉しいのです
あなたの
笑顔が見たいのです
あなたに
声をかけてもらいたいのです
晴れの日は
光を浴びて
雨の日は
冷たさに耐え
夕映えの空と
競い合い
三日月を
愛でながら
あなたを想うのです

▽ 見えなくなってから、風や太陽や花の香りに励まされています。
人は小宇宙と言われますが、そうだとしたなら、風も太陽も地球を彩る花々も、私たち人間の一部なのですね。
いつ頃だったか覚えていませんが、『環境保護団体が、抗議のためにイタリアローマのトレビの泉に』真っ黒い液体を流したとニュースで見ましたが、このことは、自家撞着していると思わなかったのでしょうか。
環境を保護しなくてはならないと訴えている人たちが、環境を汚してしまっては本末転倒も甚だしいですね。
今回も、最後まで読んでくださりありがとうございました。
石田眞人でした