第六十七号 涙とこころと…
今年4月26日のパソコンニュースに『人の指が路上に落ちていた』と言う記事がありました。その後、警察で調べてみると、荷物の配達人の指だということが判明したようです。
その配達の人は「配達の途中でドアに指を挟み、けがをしたことはわかっていたが、そのまま配達をし続けた」と言っていたようです。
この方の心を推し量ると、なんだか胸が押しつぶされそうで苦しくなりました。
話は変わりますが、ある人物を評価する時には、もちろん容姿や顔立ちも大切ですが、その人の人となりや人格は、容姿以上に重要なことのように思えます。
それでは、人格や人となりとは何を指して言うのでしょうか。私が思うのは、ひとことで言えば『心の在りよう』だと感じるのです。
では 皆さんは、心は身体のどの辺りにあると思いますか。
ある人は言いました「脳みそで考えるのだから、心は脳だろう」とです。
私は想いました『なんて直線的で、平面的な考えを持った人なのだろう』とです…
私が国リハ(国立障害者リハビリテーションセンター)で学んでいる頃、生理学の先生から教えてもらった話しなのですが、これは日本よりも臓器移植が盛んな欧米での出来事です。
それは心臓移植を受けた、ある人の話です。その男性は、肉よりも魚や野菜を好んで食べていたのですが、心臓移植を受けた直後からは、異常なほどに肉が食べたくなったと言うことなのでした。心臓を提供した方を調べてみると、無類の肉好きだったとのことでした。このような例は、欧米では多く見られるようなのです。
そんなことから『心臓は、記憶する能力を持っているのではないか』と考えるドクターもいるようです。
正直なところ私は、心は体の何処に存在するのかわかりませんが、人間と言う生物は、なんて神秘的な生き物なのだろうと思うのです。
近未来、心や魂や死後の世界はあるのかないのか、また人間は何処からきて何処へ向かっているのか、あるいは、広い宇宙には、地球のほかにも生命体は存在するのかなどなど、科学的に解明される日が訪れることでしょうね。
初めの詩は、西武池袋線の入間市駅前ロータリーでの出来事です。その大学生との出会いから、大切なことを学んだのでした。
どうぞ読んでください。
〈涙〉
ようやく駅前の
広いロータリーを抜けた
初めてひとりで歩く街
見えない目の代わりに
白杖を振り
迷い迷った
駅前ロータリー
どっちの信号を渡ろうか
一難去ってまた一難
こうして思い切った命がけ
ひとつの信号渡りだす
「あっ!危ない」
「まだ赤です」と
手を引かれ
もといた位置まで引き返す
「どちらまで行くのですか」と
若い男の子の声
それから二人で歩きだす
「僕いつもどう声をかけたらいいのか迷うのです」と
男の子
私はとっても嬉しくて
心はウキウキ踊りだす
歓喜雀躍する気持ちを抑えつつ
「何かお手伝いできますか」と
声をかけてもらえると嬉しいとひとこと言う
男の子は弾む声で言った
「実は僕のおばあちゃんも目が見えないのです」と
ほんの僅かな数分間
涙があふれる喜びに
美しい優しさに出会った
玉響な時間
見えない私だからこその
一期一会
これだから人生やめられない
▽ 皆さんは、忘れられない出会いはありますか。また、最近在った一期一会はどんなものでしたか。
人生は、誰と出会い、何を学んだのかで大きく変わるのではないでしょうか。また人生は、一期一会の連続のようにも思います。
次の詩は、毎朝夕のウオーキングの時の出来事です。
赤ちゃんの泣き声は、とても力強いものですね。中には、うるさいという人もいるようですが、私は、赤ちゃんの泣き声に励まされた次第でした。
どうぞ読んでください。
〈赤ちゃん〉
赤ちゃんが泣いている
向こう三軒両隣に聞こえるくらい
力強く泣いている
全身全霊命がけな
大きな声で
お母さんを求めて泣いている
思わず私の口元から
笑みがこぼれ出した
お腹が空いたのかしら
眠いのかしら
お母さんが近くにいないのかしら
そう思った刹那
泣き止んだ
きっとお母さんの腕の中に抱かれ
安心したのだろう
赤ちゃんにとっては
お母さんの腕の中が
全宇宙なのだから
▽ 最近の話ですが、いつもお世話になっているヘルパーさんが来ないので、どうしたのかなと思っていると「おめでたで休んでいるのですよ」と言う声が聞こえてきました。
そのヘルパーさんは「30歳を過ぎてから結婚したので、子供は生まれまいと思います」と諦め模様だったので、まさに神様からの贈り物だと言って喜んでいるようでした。
私にも、何か良いことが起こりそうな予感さえ運んできてくれたお話でした。
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした