第五十一号 天高く俺肥える秋
新型コロナウイルスの感染者は、減ったり増えたりの波はまだまだ治まらず、第六波…第七波と終わりは見えず、いつまでこの状態が続くのか誰にもわかりません。
そんな中で国の方針は、感染者対策から経済重視の方向に移行してきています。
それだからこそ、自分の健康は自身で守ることが大切になっています。
こんな世の中だからこそ「君子危うきに近寄らず」という諺が頭の片隅を過ります。私は決して君子(くんし)ではありませんが…それでもやはり、危険な所には近寄らないほうが良いような気がします。これは私個人の考えなので、悪しからず。
始めの詩は、『秋』をテーマに書いてみました。
すっかり秋も深まってきた昨今、皆さんの秋はどんな秋ですか。私の秋は、唯々食欲の秋です。
では、皆さん自身に当てはめて、読んでみてください。
〈秋〉
天高く
俺肥える秋
そっと腹を見る
・・・・
空は青く澄み
果てしなく高い
真綿色した雲は
優雅に流れ
鬱積した憂鬱を
持って行ってくれる
・・・・
夜空を泳ぐ
丸い大きな月は
心の隅々まで
明るく照らし
鬱積した劣等感さえ
和らげてくれる
・・・・
天然色に染められた
山里に吹く風は
浩然として流れ
どうすることもできない
心にたゆたう屈託さえ
一粒の麦に変えてくれる
※浩然(こうぜん):水が豊かで、ゆったり流れるさま。心などが広く、ゆったりしているさま。
▽ 皆さんは、『秋』というキーワードを与えられた場合に、何を想い、何を感じますか。
話は変わりますが、その昔には「無病息災」と言われましたが、いつの頃からか「一病息災」と言われるようになりました。また「二病息災」という方もいました。私も、糖尿を持ちながらも二十数年間元気?に生活しています。
今は誰しもが、コロナと戦っていますが、せめて秋のさわやかさを想像していただけたならと思い、こんな詩二編をのせてもらいました。
次の詩は『台風一過』をテーマに作ったものです。
沖縄に移住した方で、昔私がお世話になった方から「台風は沖縄に沢山の恵みをもたらしてくれる」と聞きました。
私は、台風にはあまり良いイメージは無いのですが、少し目線を変えて書いてみました。
どうぞ読んでください。
〈凛凛(りんりん)と〉
森の小鳥が目覚める頃
静々と咲く朝顔に
涼風が渡り
台風一過の蒼穹は
柔らかな秋の香を運び
田畑を覆い尽くす
それを待ちわびた稲は
たわわに実をつける
山里深い渓谷は
凛然とし
赤や黄色に化粧する
天上の弓張は
ここまで飛んで来いと言いたげに
地上のものたちへ笑顔を向ける
伸びやかに羽を広げた虫たちは
清らかな曲を奏で
大地に響かせ
上弦の月を際立たせる
凛と張り詰めた夜気に
星は燦燦として
輝きを増す
※ 凛凛(りんりん):1、寒気がきびしく身にしみるさま。2、勇ましいさま。りりしいさま。また、心のひきしまるさま。
凛然(りんぜん):凛凛と同じ。
凛(りん):上に同じ。
▽ 秋の空は、まさしく『天高く……』心も晴れ、食欲も増してしまいますね。糖尿の私としては、困りものです。しかし、青く、高く晴れ渡った蒼穹の下(もと)で川辺や里山を散策しながら俳句をひねってみても楽しそうですね。因みに、俳句には季語が必要です…「そんなこと知ってらい!」と想った方もいらっしゃることでしょう。
季語はスマホで簡単に検索できると思います。調べた季語をキーワードにして、俳句作りに励んでみても楽しいのではないでしょうか。
以前、NHKテレビで、散歩をしながら俳句や短歌を作ることで、脳の血流が増し、認知症予防になるという番組がありました。私も、そろそろ予防することを考え始めようと思います。
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
石田眞人でした