第四十号 三方良しの精神
皆さんは「三方良し」という言葉をご存じでしょうか。それは、近江商人の商売の心得を表した言葉で『売り手良し、買い手良し、世間良しの三つの「良し」を言い、売り手と買い手が共に満足し、また社会貢献もできるのが良い商売であるということを意味する言葉です。』これを本で読んだ時に、近江商人の高潔な精神に感心しました。
また、ある本に、次のようなことが書いてありました。
『垂直は水平があってこそであり、上は下があってこそ上として成り立ち、右は左があってこそ右と認識できる』とです。
それは、考えるまでもなく、当たり前のことなのですが、この一節からは何か大切なことを教えてもらえるような気がしました。そうして、考えれば考える程、奥深さを感じる言葉のように想われてなりません。
今年の二月下旬から、ロシアとベラルーシが、ウクライナに進行しているニュースが、テレビや新聞紙面を占領していますが、ロシアの大統領はあまりに勝手なことを言っているように思えてなりません。近江商人の心得を、ロシアの大統領はもちろん、世界中の国家元首に知らせたいと思うのは、私だけでしょうか。
初めの詩は、岩手の衣川村(ころもがわむら:現奥州市)で見たみごとな星空を思い出して書いた詩です。
それは、30代前半でした。当時住んでいた千葉市から衣川村へ
引っ越した一日目の夏の夜でした。その星々の美しさに驚き、見とれていると、いくすじもの流れ星が見えたのでした。それは、一生分の流れ星を見たことに等しいほどでした。このことは後から知ったのですが、衣川村は「星空日本一」に選ばれたことも数度あったということでした。皆さんは、流れ星に何を祈りたいですか。ロシアのウクライナ侵攻のことを考えると『ウクライナの人たちの安全無事』を祈りたいですね。では、どうぞ読んでください。
〈星に願いを〉
肩をすぼめ
頭を垂れ
胸の前で指を組んだ
そうしたいと心が動かされるほどに
層一層輝く星に魅せられた
今夜は妙に星たちが
個性を増している
月の無い漆黒なキャンパスに
白や赤や黄色な光を放つ
まるで真珠やルビーやダイヤモンドの
ミュージカルを観ているようだ
空を埋め尽くした宝石たちは
時空を超えて
遠近(おちこち)で輝き
光が全身に降り注ぎ
心は清かに洗われる
瞳には溢れる一滴
心に満ちるstardust
粛然とした興奮に抱かれる身体から
迸る宇宙の愛は溢れだす
肩をすぼめ
頭を垂れ
胸の前で指を組んだ
そうしたいと心が動かされるほどに
層一層輝く星に魅せられた
大地は深深と眠りに落ちて
空気を震わす音もない
森は大きく手足を広げ
ヒューッと微かな
寝息をたてる
そんなコスモサイクルに
背を向けていた
僕の心の黒風白雨が
やがては落ち着き
こぼれ落ちんばかりの
星空と化す
生きとし生けるものは
永遠な愛に満たされて
▽ 田舎に住んでいる頃は、満点の星空が当たり前だと思っていました。しかし大袈裟ではなく、東京に出てから、星が全く見えないことには驚きました。
岩手に移り住んでから宮沢賢治の童話を読むようになったのですが、賢治の童話には星の話がたくさんあります。それだけではなく♪星巡りの唄♪を賢治は作っています。
機会がありましたら、ユーチューブで聞いてください。
次の詩は、手放しで春の季節を喜んでいる心情を書いてみました。きっと、賢治も北国の春を喜んだことでしょう。
どうぞ読んでください。
〈春は玉響〉
春だ
春だよ
待ちに待った
春はやって来て
梅は匂い立ち
桜は花開いた
長かった冬は去り行き
短な春は
猛スピードで走って来て
菜の花もタンポポもチューリップも
花という花はみんな咲き誇り
いっきに大地は彩られた
僕の心は
花に満たされて
凍りついた目も
光を取り戻した
僕の頬にも
春一番が
温もりを運んできたから
もう厚いコートは脱ぎ捨てようよ
凝り固まった肩を
ぐるぐる廻し
曲がったままの膝を
すくっと伸ばし
重い口を大きく開き
命溢れる
春の息吹を
胸いっぱいに吸い込んで
冷え切ったお腹は
暖かな空気で
膨らまし
青い地球に踏ん張って
短い春を
泳いでみよう
・・・・
春だ
春だよ
待ちに待った
春はやって来て
梅は匂い立ち
桜は花開いた
鶯の唄や
小川のせせらぎに
急かされて
風のささやきと
森の木洩れ日に
促され
大地の温もりと
空の青さに
力をもらい
両手両足を
思いきり広げ
ここにしかない春を
精一杯走りぬこう
夏がやって来る前に
地球の命に
まみれてみよう
北国の春は
玉響なのだから
▽ 北国の春は、一気に訪れて、神社にぶら下がっている、玉の音が「カランコロン」と響いている短い間に過ぎ去ってしまいます。埼玉に越してきてからも、春や秋は私の子供の頃よりも短くなったと感じます。それは気のせいでしょうか?
大自然のパワーは偉大ですが、芽吹きの季節である春のパワーは、人の体調を変化させてしまうほど強力だと聞いたことがありました。
そんなことからも、自然の偉大さと大切さを感じます。ですから、自然は守って行かなければなりませんね。
今回も、ありがとうございました。
石田眞人でした